映画「子宮に沈める」を観た時の、唖然とした気持ちを振り返る。

子宮に沈める

最近、ババアたちが起こす事件が熱いせいで霞みがちなんだけど、実母の虐待で子供が死んだ事件が2件ほどあったのは知っている?

1件は、若いお母さんが自分の子供に薬を飲ませて殺害した事件。
もう1件も若いお母さんで、4ヶ月の赤ちゃんの胸を踏みつけて、それが原因で心臓破裂で死んでしまった事件。

両方とも、自分がお腹の中で育んだ子供を殺してしまったのよね。

あたしは子供や動物を虐待する人間の気持ちが、どう考えてみても理解できなくて、そこに至るまでの狂気って一体なんなのかしらね?

2010年にも大阪で、自分の子供をマンションに置き去りにして餓死させたお母さんがいたじゃない?
あれも忘れられない出来事だわ。

その大阪2児餓死事件をモチーフにした映画で「子宮に沈める」という作品があるんだけど、この映画を観た時もただただ唖然としたのをよく憶えているわ。

今日は映画「子宮に沈める」を通して、虐待について考えてみようかしらね。

「子宮に沈める」の大まかなあらすじ

映画は若くて子供思いの母親と、二人のかわいい子供たちの日常生活から始まる。

子供のために栄養のバランスを考えた食事を作り、こまめに世話をする若い母親。
その愛情は子供たちにちゃんと伝わっていて、母子の生活はとても幸せそう。

だけど、早い段階で気付く人なら分かるはず・・父親の存在感がない。

実は母親は夫との不仲に悩んでいて、どうやら夫は他所に女を作っている気配。
妻への愛情は冷め切っていて、子供たちを育てながらも母親は一人で悩んでいたのね。

結局、夫とは離婚することになり、若い母親と子供二人の生活が始まる。

子宮に沈める

別れた夫から養育費や生活費の支援を受けられているかどうかは劇中で語られていない。
夫と離れた後は、母子は恐らく賃貸のアパートらしき一室で新生活を始める。

夫と離れても、母子の生活は変わらないように見えたけど、少しずつ翳りが見えてくる。

仕事を始めた母親だけど子供が熱を出したりして、満足に出勤することができない。
保育園に預けている描写もなかった気がするから、昨今の待機児童問題もあったのかも。

そんな中、家を訪問した水商売をしている友人の勧めで、母親は夜の仕事に就く。
でも、それが原因で徐々に生活が荒んでいく・・

以前はきめ細やかに子供の世話をしていたのに、食事も身の回りの世話もどんどん雑になっていく。
夜の生活に染まり泥酔して帰宅し、挙句の果てには自分の男を連れ込んで、子供がいるのに性行為に及ぶ事も・・

それまでは吸ったことのなかった煙草にも手を出すようになる。

子宮に沈める

荒んだ生活が続いたある日、母親は子供たちに大量の夕食(チャーハン)を作る。
夜の仕事に出勤する前は、いつも食事を与えていたみたいだけど、お皿に特盛りの尋常ではない量のチャーハンを作り、食卓に置いていく。

そして、家を出る際に窓や扉などを子供たちが開けられないように、隙間という隙間をガムテープで目張りしていく。

母親は交際している男の元へ行くため、子供たちを置き去りにすると決めたのだ。

こうして、自分たちが置き去りにされた事を知らない、幼い子供二人だけの生活が始まる。

子宮に沈める

母からされた仕打ちを知らず、ひたすらその帰りを待つ幼い二人。

でも、食料は尽き徐々に衰弱していき、母が施した目張りのせいで外部に助けを求める事もできず、そのうち弟は・・

映画の特徴は独特なカメラワーク

最初から最後まで物語は淡々と進んでいく感じ。
基本的に定点カメラで、同じ位置から母子の生活、母に置き去りにされた後の子供たちだけの生活を映し出すんだけど、それが他者の生活を覗いているようなリアリティを醸し出すのかも。

舞台は自宅の中だけで、外の世界は映さない。
その狭い空間で、母の心境の変化と共に家の中がどんどん荒んでいくのが心苦しい。

どんどん母が変わっていっても、子供たちの母への信頼や愛情は変わらない。
「子供とは守らなければいけないもの」と痛いほど伝わってくるのに、観客の気持ちは母へ届く事はないのよね。

若い母は無知だった

あたしはさ、あんまり若いうちに結婚したり親になるのは反対なのよ。
恋愛の熱の勢いで、ずっと一緒にいたいと思うのかも知れないけど、恋と生活は全然違うものじゃない?
男の人にちゃんと責任感があればいいけど、この映画みたいにいい加減な男で妻や子供を守り通す意志が弱いなら、不幸になる可能性は高いでしょ?

社会経験が少ないうちに家庭に入れば、おのずと女性は無知になってしまうと思うの。
もし、責任感のない夫から捨てられてしまったら、自分一人で生きていく術が分からない状態になってしまう。

仕事と子育ての両立が無理で、頼る親族もいないのなら、日本には生活保護だってある。
無知のまま社会から孤立してしまうと、行政に頼れる事すら知らないってわけよね。

年齢を重ねていれば回避できる問題ではないかも知れないけど、無知な故に社会から孤立してしまう可能性は若い人の方が高いと感じる。

「子宮に沈める」感想まとめ

社会から孤立して、不幸な結末を迎えるお話なら「火垂るの墓」を思い出すよね。
あれは時代も時代だけど、結局は無知な子供二人だけで誰にも頼らなかった挙句、兄は妹を守り切れなかった。

社会から孤立するのって、恐ろしい事なんだよね。

そして実母による虐待というのは、本人の母性の欠如だけでなく、周囲の無関心にも原因があるのかな?とも思った。

実際の事件では子供たちが亡くなった後に、マンションの住民たちはお互いに関心を持つように、交流会を行うようになったらしいわね。

今の時代、ご近所付き合いなんて煩わしいけど、思わぬ他人が自分を助けてくれることもあるのかも。

「子宮に沈める」は、その辺りにも警鐘を鳴らしていると思うのだけれど、やっぱり子育ては昔の社会みたいに皆でしていくのがベストなのかね?

とにかく、小さな子供が犠牲になる事件がなくなるよう、あたしは祈っているよ。
自分を守る術も、逃げる術も分からない子供を痛め付けるのはやめて。

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