寂しい夜には・・

Bess-Hamiti / Pixabay

あたしが二十歳ぐらいの頃、それはそれはセンシティブだった。
今でもメンヘラ気味ではあるけど、今よりもネガティブな感情の処理の仕方が分からなかったから、嫌な事があると一回一回ダメージを喰らっていたわね。

高校生ぐらいまでは一人きりの部屋でよく泣いていたけど、大人になってから、信用していた友達から裏切られたことがあって、その時から何故か、すぐ涙が出ないようになったの。
泣くことって、けっこうストレス解消になるじゃない?
一回、悲しい気持ちや不安な気持ちに折り合いを付けるというか。

それなのに、友達から裏切られたのが、あまりにもショックだったのか、その時は一滴も涙が出てこなかったのよ。
嗚咽を漏らして、思いっきり泣けたら気持ち良かったのに・・

なぜか今までできていた事ができなくなったあたし、お酒を飲み過ぎて感情のタガが外れた時以外は、ほとんど泣けなくなった。

昔から、感情を押し殺す性格ではあったけど、一人でいる時ぐらいは素直でいたいのにさ。

あたしは、感情のはけ口を失ってしまい、ますます情緒不安定に。

そんな時に出会ったのは、その当時、普及し始めたインターネットで見つけた、あるサイト。

そのサイトは「寂しい夜には・・」というタイトルで、どんな検索ワードで発見したのかは、もう憶えていない。
管理人さんはうつ病の当事者で、自身の体験が綴られた日記や、心の痛みを吐き出す掲示板が設置されていた。
掲示板は、基本はレスはしないタイプで、心に溜まった痛みや辛い事を投稿して吐き出すスタイル。

このサイトに出会った時、あたしは19時から24時30分までの、深夜帯の接客業のアルバイトをしていたの(水商売ではない)

仕事帰りのイライラしているお客さんとかに、けっこう八つ当たりされることが多くて、時給はいいけどストレスも多かった。
これがきっかけで、夜遅くまで働く仕事は、もうしたくないかな・・・

1日の最後を仕事で締めくくって、その上、嫌なことがあった日なんて、余分に疲れる。

家に着いて、お風呂に入って、もう深夜2時も過ぎた頃、眠れなくて真っ暗な部屋でしていたネットサーフィンで、サイトを見つけて・・

思わず、掲示板に落ち込んだ気持ちを書き込んだのよね。

そしたら、気持ちが少し落ち着いて、その日は寝付くことができた。

それからもあたしは、何もなくてもそのサイトを閲覧するようになって、他の人たちの投稿もチェックするようになった。

痛みを抱えながら生きている人は、たくさんいるんだなぁって、少し安心もした。

サイトに出会ってから6年ぐらい、掲示板を閲覧したり、やり切れない出来事があった時は書き込みしたり、あたしは通い続けたけど・・
そのうち、管理人さんが具合があまり良くないらしく、サイトの運営を止めてしまい、掲示板だけは残しておく形で、放置されることになった。

そして、サイトのサーバーとの契約が切れたのか、ホームページにアクセスできなくなってしまい、今はもう、あたしが通ったサイトはない。

あの頃より、随分と歳を取った今でも、寄る辺ない気持ちの時には、あのサイトを探してしまう。

掲示板で、いつも苦しそうだったあの人は、今でも元気に生きているのだろうか?
たとえ、会ったことはない人でも、同じ場所を通じて出会った、似た痛みを抱えた人々。

レスはしない掲示板でも、「あなたは要らない人なんかじゃないよ」と言ってくれたあの人。

みんな、元気だろうか?

それとも、この世にはいない人もいるのだろうか?

なんて、感傷的になってしまう夜なのでした。

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