うつが治るまで~うつ病経験者の語る体験談・中編~

NadineZarya / Pixabay

前編の記事では、あたしが「うつ病になるきっかけ」までお話しました。
中編は、うつ病にかかっていた間、どのような心境や体調だったのか、思い出せる範囲でお話します。
今現在、何かに苦しんでいる人の助けに、少しでもなれればいいなと思っています。

せっかくの休みなのに、何もやる気が起きない

チーム配属の話を聞いたのは金曜日で、翌日は休みだった。
今までは、休日にはリラックスして気持ちを切り替えていたけど、パワハラ上司と出会ってからは、休日もモヤモヤすることが多くなっていた。

それでも、1人で外出したり友人に会ったりして、気分転換はできていた。

だけど、この休みからは違った。

とにかく、何もやりたくない。
朝、ベッドから起き上がるのも億劫。
休みの日しかできない用事がたくさんあるのに、何もする気が起きない。
部屋の掃除とか、録画しておいたテレビ番組を観るとか、家の中でできる事もしたくない。

ただ、横になっていたい。
何にも興味がない。

休みをどんなに楽しく過ごしたって、月曜日になればパワハラ上司と、苦手な同期が待っている会社へ行かなければならない。

そんな現実に休みとのギャップを感じて、余計に苦しくなるなら、もう楽しく過ごせなくていい。
こんな風に、会社に行っていない時間も蝕まれていった。

いつも、考えてしまうこと

少しも前向きになれない状態だけど、会社へは毎日通っていた。

チームに配属された後も、パワハラ上司はしょっちゅう粗探しにやってくる。
同期は得意気にあたしの揚げ足取りをしてくる。
余計に落ち込んだ気分になって、その頃からいつも考えるようになることがあった。

「どうやったら、楽に死ねるだろう・・」

仕事でも休みでも、いつも死ぬことばかり考えていた。
仕事を辞めたって、また転職活動しなければいけない。
以前よりも不利な状況で、きっと地獄が待っている。

このまま仕事を続けても、パワハラ上司と苦手な同期とずっと一緒。
見返してやるほどの気力も残っていない。

出口がどこにもない・・・。
もう、頑張りたくない。
消えてしまいたい。

あの頃のあたしは視野が狭くなり、絶望していた。
これがうつ病の怖いところだと思う。
気力がどんどん奪われていく。

心療内科へ通院することに

追い詰められたあたしは、食欲もなくなっていた。
なんとか会社に行くのが精一杯で、私生活は荒んでいった。
自分でも分かるぐらい、しばらく笑っていない。

さすがに危機を感じて、仲の良い友達に相談してみたら、評判の良い心療内科を教えてくれた。
早速、行ってみることにした。

一番、頭がぼんやりしていた時期なので、はっきり憶えていないけど、初診なので50項目ぐらいある性格テストみたいなのをやった。

看護師なのか臨床心理士なのか分からないけど、現在の状況を簡単に説明して、待合室で先生の診察を待った。

先生の診断では、あたしは軽度のうつ病ということで「ドグマチール」という薬を処方してくれた。
家に帰ってからドグマチールを飲んで、少し眠ることにした。

目が覚めたら、不思議とモヤモヤした落ち込んだ気分から、解放されていた。

ジレンマ

ドグマチールを服用するようになって、あたしの状態はだいぶ良くなった。
パワハラ上司や同期に嫌なことを言われても、あまり落ち込まなくなった。
でも、なんだかいつもフワフワした気分で、自分が自分じゃないみたい。

そして、ドグマチールは消化を良くする効果もあるらしく、食欲が戻ってむしろ以前よりも食べるようになっていた(そして、太り始めた・・)

ただ、薬の効果が切れると、また落ち込んだ自分に戻ってしまう。
でも、あたしは薬に依存する自分になることに、とても抵抗を感じていた。

「薬を飲み続けてまで、この仕事にしがみ付きたいのか?」

結局、続けるか辞めるかの二択しかない気がした。

無意識のSOS

出口の見つからない日々。
うつ病がこんなに辛い病気とは思わなかった。
全く知らない自分に出会い、戸惑う毎日。

でも、会社には出勤していた。
ドグマチールを飲めば、気分の落ち込みはないけど、少しずつ体がおかしくなっていた。

朝起きると原因不明の耳鳴りがして、1日中悩まされた。
「ピー」という甲高い音ではなく、冷蔵庫のモーター音みたいに、低くて太い音がずっと耳の中で鳴っている。
少しうたた寝しただけでも、パワハラ上司や同期に注意されている夢を見る。

やはり、完全に安らげることはなかった。

パワハラ上司からの「とどめ」

満身創痍で働く日々、あたしはミスをした。
しかも、そのミスを発見したのは、パワハラ上司だった。
粗探しが大好きなパワハラ上司は、とても得意そうにしていた。

ミスについて、一時間ぐらいネチネチ注意を受けたが、もう何にも感じなくなっていた。

パワハラ上司はしつこくて、あたしに一回、あたしと同期の前で一回、チーム全体の前でもう一回と、同じ日にあたしのミスを三回注意して、まるで公開処刑みたいだった。

なんだか、心の中で糸が切れたような感覚になって、あたしは思った。

「もう、死のう」

落ち込んでそう思うのではなく、全くもって無味乾燥な気分だった。
もう楽になりたいと純粋にそう思った。

残り時間のあたしは、いつも通りの様子で業務をこなし、でも、私物は鞄の中に全部回収して、机の中やロッカーをこっそりと整理した。

少し残業した後、笑顔で挨拶して退勤した。
それから、二度と会社には行かなかった。

うつが治るまで・後編へのリンク

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