それはあたしが30歳の時の話。
ある男性と知り合い、ドライブデートに行ったあたし。
相手の男性は、あたしに初めて会った時に「感じが良い」と思ってくれたらしく、二回目のドライブデートに誘ってくれたらしい。
が、あたしは恋愛スキルに関しては、かなり低めのため、けっこう緊張していた。
また、その当時は勤めていたIT系の会社でアルバイトから契約社員になって、人生初めての管理職に就いたのだけど、同僚たちに比べて全然仕事についていけてなくて、かなり情緒不安定だったの。
そんな状況だったから、あたしの思考は恋愛どころじゃなくて、正直ドライブデートはあまり楽しくなかったの。
その様子を察したのか、相手の男性に
「君は物腰は柔らかいんだけど、どこか人を突き放したところがあって、冷たく感じる」
↑こんなことを言われたのよね。
確かに、あたしは他人とベトベトするのが苦手だから、一定の距離感は常に保っておきたいタイプ。
実際、仲が良くなりすぎて、思わぬトラブルに巻き込まれたことも何度かあるしさ。
でも、自分自身でそれを短所とは思わないし、負担が少ない生き方を選んでいるんだから、それでいいと思ってる。
結局、その男性とはそれきり会わなくなった。
そして、月日は流れ、あたしはアラサーからアラフォーへ。
ついこないだの話だけど、二年前に知り合った男性と、久しぶりに再会したのね。
前はタイミングを逃しちゃって音信不通になっていたんだけど、せっかくまた会えたので飲みに行くことに。
それなりに楽しい時間を過ごして、それからまた連絡を取るようになったんだけど、彼とメールのやりとりをしていたら、こんな内容に↓
あたし「今日は休みだけど、休みの日は家事を全部やらなきゃ。これから夕飯の買い物してきます」
彼「料理するんだね。機会があったらご馳走になりたいな」
彼がどういう意味でこう言ったのか分からないけど、あたしにはものすごい拒絶感が。
なぜ、あたしが好きでもない人のために、手間暇をかけて料理を作らなければいけないのだろう?
しかも、あたしは根っからの料理好きなわけじゃなくて、仕方なくやっている感もあるのよね。
盛り付けのセンスがないから、お弁当を詰めるのも嫌だし・・
というわけで、丁重にお断りをしました。
彼は特にその件については反応しなかったけど、あたしは不快感があったので、その後のメールの返事もやや素っ気ない感じに・・
「まったく!男って自分が何かをしてもらって当たり前って思っているから嫌だわっ!」
なんて、友達に愚痴ったりして、気持ちも収まってきたのだけど・・
ひょっとしたら、あたし、彼を傷つけていないかしら?
自分のルールやこだわりのために、気付かないうちに他人を傷つけているのかもって、なんか考えちゃって。
いや、あたしも他人と関わることで傷ついているから、それはおあいこだとも思うけど、でも・・なんかモヤモヤする。
というわけで、彼に謝罪のメールを送りました。
そうしたら、彼からは「気にしてないよ、また時間が合う時に遊ぼう」と優しい言葉が返ってきました。
その返事を読んだ瞬間、あたしの頑なさが解けて、息苦しさが楽になったの。
心を許せる友達以外は、誰といても居心地が悪かったけど「ああ、歩み寄ることが足りなかったんだ」って思った。
「とげとげしい」とか「毒々しい」とか、そんな自分でいる方が、なんか強くなれた気がしてたけど、本当は心細いのよね。
虚勢を張らないと自分を保てなくてさ。
少しだけ、自分にも他人にも素直になれた出来事でした。