ふきげんよう。
あたし、節約のために会社にはお弁当を持っていっているのね。
栄養のバランスを考えつつ、週5日分用意するのは大変なのだけど、外食はコストが嵩むしコンビニで買うのもピンとこないしさ。
休憩室に人が少ない時間を見計らって、一人で静かにお弁当を食べるのが好きなのだけど、今日はふと学生時代の事を思い出したの。
あたし、学生時代はスクールカースト最下位の陰鬱なデブブスだったから、友達が全然いなかったのよね。
だから、教室ではいつも一人でいた。
今の子供はどうか知らないけれど、あたしたちの世代は「ぼっち」ってすっごい恥ずかしいって思われていたの。
登下校、休み時間、授業中のグループ決め、修学旅行の班決め、文化祭に体育祭…
ぼっちの子にとっては、居心地の悪い時間ってたくさんあるのよ。
学校が楽しい子には分からないでしょうけどね。
居心地の悪い時間の中でも、あたしが一番嫌いだったのが「お弁当の時間」
中学生までは決まった班で机を迎え合わせて食べたりするけど、高校生からは自由でしょ?
高校に入学して、初めてのお弁当の時間…
内気だったあたしは早々に友達作りに失敗していて、周りのクラスメイトにはちらほらグループができている。
学校内を見て回る時も、誰からも声をかけられなくて一人ぼっち。
自分から声を掛けることもできない。
どうしよう…
次はお弁当…
お弁当の時間も誰からも声を掛けられなかったらどうしよう?
中学の運動会の時、お弁当を教室で一人で食べていたら、クラスメイトで好きだった男の子に
「お前、寂しいやつだな」
って言われた…
周りのクラスメイトは楽しそうに机を寄せたり、購買に行くのに、あたしは自分の席で固まったまま。
とりあえず、お弁当を広げよう…
料理が上手な母が作ってくれたお弁当、美味しいはずなのに、緊張感で味がしない。
誰も声を掛けてくれないのかな…?
うつむき加減にお弁当を食べながら、そんなことを考えていた。
結局、誰からも声を掛けられることもなく、お弁当も残して、魔のお弁当タイムは終わった。
それから高校を卒業するまでの三年間、お弁当タイムを含め、あたしは学校生活のほとんどを一人で過ごした。
こんな20年以上も前の記憶を、静かな休憩室で一人でお弁当を食べていたら、突然思い出したの。
今は、せっかくの休憩時間を他人と過ごすなんて、気が休まらないから絶対に嫌だのに。
もし、現在のあたしの意識だけが子供時代にタイムスリップできたなら、自分からクラスメイトに声を掛けていただろう。
まあ、誰かと一緒に行動したいわけじゃないけど、その方がいろいろと合理的だし。
子供時代の自分と比べると、ずいぶんと性格が変わったものだわ。
学校という小さな世間で、くだらないことい悩んでいたんだな。
でも、それしか知らないから、それが全てだったんだよね。
もし、あたしと同じような悩みがある子がいたら…
心配しなくても、子供時代に悩んでいたことなんて、大人になったらどうでもいいわよ。
そして、自分の想像以上に、自分って変わっていくものなの。