かつて、日曜夜の7時半からフジテレビで放送されていた、人気アニメシリーズ「世界名作劇場」。
残念ながら、地上波での放送は1997年に終了してしまったので、今はDVDや再放送でしか見られないわね。
今のアニメのような派手さはないけど、世界名作劇場は「子供の情操教育にとてもいい」と個人的に思っているの。
今回は、あたしが子供の頃に夢中になって観た、世界名作劇場の中から、おすすめの作品「小公女セーラ」を紹介しちゃうわ♪
目次
まずは世界名作劇場についておさらい
念のため、世界名作劇場について振り返ってみるわ。
世界名作劇場は、前身の「カルピスまんが劇場」から数えて約30年間続いた子供向けのアニメシリーズ。
ちなみに、「アルプスの少女ハイジ」や「フランダースの犬」など、有名な作品はスポンサーが「カルピス」だった時の作品なのよ。
作品の特徴
主に海外の児童文学を原作にしていて、時代設定は19世紀中心。
制作に当たりスタッフは、時代背景や舞台になる国の風土、日常生活などを取材し、丁寧に作り込まれているわ。
児童文学を原作にした子供向けのアニメのため、主人公の年齢は大体10歳前後。
「私のあしながおじさん」や「トラップ一家物語」など、ティーンの女の子が主人公の作品もあったわね。
視聴率低迷のため、地上波では1997年の「家なき子レミ」を最後に放送終了。
その後はBSフジにて、いくつかの作品が放送されたぐらいで、新しいシリーズは制作されてないみたい。
世界名作劇場「小公女セーラ」を紹介!
さあ、ここからは「世界名作劇場」の作品で、あたしの一番のおすすめ「小公女セーラ」を紹介するわ!
作品への思い入れや見所など、いろいろ書いちゃうわ♪
※興味を持ってくれて「小公女セーラを観てみたい!」と思った方のために、ネタバレは少なめにします。
あらすじの紹介は、主に物語序盤に留めておきます。
作品情報
「小公女セーラ」
1985年放送・全46話
原作:フランシス・ホジソン・バーネット「小公女」
原作は有名な児童文学の「小公女」。
ちなみに、原作の主人公とセーラは、少し性格が違うそうです。
結末も、「小公女セーラ」は日本人受けするように変更されているんだそう。
登場人物
セーラ・クルー
本を読む事と想像をすることが好きな聡明な少女、10歳。
大富豪の娘でありながら、それを鼻にかけることをせず、誰にでも親切な態度を取る。
運命の渦に巻き込まれ、過酷な日々を送るが、どんな時も博愛の心と誇りを忘れない、芯の強い女の子。
ラルフ・クルー
セーラの父親。
セーラを溺愛しており、娘のためになら、お金に糸目を付けない。
マリア・ミンチン
ロンドンの寄宿学校「ミンチン女子学院」の院長。
徹底した拝金主義で、お金の有無に寄って他人に対する態度を変える。
アメリア・ミンチン
ミンチン院長の妹で、ミンチン女子学院の教師。
姉と違い、物腰が柔らかい女性。
姉が自分を苦労しながら育ててくれたため、逆らうことができない。
ラビニア・ハーバード
セーラが来るまではミンチン女学院の代表生徒だった、アメリカ人の少女、13歳。
高飛車な性格で、他の生徒たちに高圧的な態度を取る。
取り巻きのジェシーやガートルードと一緒に、他の生徒をいじめている。
ベッキー
田舎の村から家計を助けるため、ミンチン女学院に奉公に来た少女。
何かと自分を気にかけてくれるセーラに恩を感じ、慕っている。
ピーター
セーラの馬車の御者として雇われた、街の男の子。
セーラへ密かに恋心を抱いている。
アーメンガード・セントジョン
おっとりしている、少し太めの優しい少女。
勉強が苦手なことや、動作が鈍いことを同室のラビニアたちにからかわれている。
ラビニアたちにいじめられていた所を、セーラに助けてもらったのをきっかけに、セーラと親友になる。
ロッティ・レイ
ミンチン女学院の年少組の少女、4歳。
母親を早くに亡くしており、実家と父親を恋しがる。
同じく母親を早く亡くしているセーラは、ロッティの気持ちを理解できたため、「学院内では自分がロッティのママになること」を誓う。
ジェシーとガートルード
二人ともラビニアの腰巾着で、日和見主義。
ジェームス、モーリー夫妻
ミンチン女子学院の台所を仕切っている、メイド頭の夫妻。
二人とも怠け者でずる賢く、自分たちは働かずにメイドへ仕事を押し付ける。
デュファルジュ先生
ミンチン女子学院のフランス語教師。
フランス語が堪能なセーラを、年少生徒たちのフランス語教師に任命する。
小公女セーラのあらすじ
主人公はインドの大富豪を父に持つイギリス人の少女、セーラ・クルー。
母を早くに亡くしているが、父・ラルフからの溺愛を受けて、何不自由なく育ってきた。
そんな環境にも驕ることなく、優しくて聡明な少女に育ったセーラ。
ラルフの強い意向により、セーラは父の生まれ育ったロンドンの寄宿学校・ミンチン女子学院に入学する事になる。
娘のためにならお金に糸目を付けない様子を見て、女学院の院長であるマリア・ミンチンはセーラを特別扱いし、ラルフから多額の寄付金を受けようと画策する。
こうしてセーラのミンチン女子学院での生活が始まった。
親切なセーラはすぐに学院の人気者になるが、同じ寄宿生のラビニアはその様子に嫉妬、何かとセーラに意地悪をしてくる。
そんな日々の中、セーラは11歳の誕生日を迎え、学院では盛大にパーティーが開かれることになった。
しかし、華やぐ学院に、悪夢のような知らせが届く。
セーラの父・ラルフがインドの鉱山で病死、しかも破産までしており、セーラは一夜にして、お金も身寄りもない少女になってしまったのだ。
それまでセーラを特別扱いしていた大人たちは、手のひらを返すように態度を変える。
ミンチン院長はセーラへ小間使いのメイドになり、学院や生徒のため下働きするように命令する。
セーラをよく思っていなかったラビニアは、執拗に意地悪を繰り返し、セーラの苦難の日々が始まるのだった。
小公女セーラの見所
世界名作劇場で悲しい物語と言えば、最終回の様子がよく放送される「フランダースの犬」が有名だけど、ネロ(フランダースの犬の主人公)は、物語の終盤まではそれなりに幸せだったのよ?
でも、小公女セーラは物語の序盤で、主人公が不幸のドン底に落ちてしまうため、不幸の度合いで言ったら、セーラの方がネロよりも全然上だと思うわ。
ミンチン院長や意地悪なラビニアからのいじめは、観ているのが辛くなるぐらいで、何度セーラと一緒に涙を流したことか・・
でも、セーラはどんな時でも博愛の心と誇りを失わないの。
自分の運命に決して投げやりにならず、一人でも勉強を続けたり、自分よりも辛い境遇の子供に親切にしたり、そんな健気な姿にセーラの幸せを願わずにはいられないのよね。
セーラを支える人たち
セーラは大富豪のお嬢様から、身寄りのない小間使いの少女に身を落としてしまうわけだけど、状況が変わってしまっても、セーラを支えてくれる仲間がいたの。
まだお嬢様だった時のセーラから親切にされて、彼女に心をつかまれたのね。
貧しいけどロンドンの街でたくましく生きるピーターは、セーラが困っている時に、いろいろと機転を効かせて助けてくれるわ。
田舎の村から、ミンチン学院に奉公にやってきた少女・ベッキーは、セーラが身を落とす前に受けた親切に恩を感じていて、自分と同じメイドの立場になっても、セーラを敬い続ける。
おっとりしていて、勉強が苦手なアーメンガードは、セーラが病気になった時、薬を調合するのが得意な叔母さんへ、解熱剤を手配してくれた。
セーラを「セーラママ」と慕うロッティは、いつもトラブルの元になってしまうのだけど、セーラがミンチン院長やラビニアから理不尽な意地悪を受ける時、果敢にセーラをかばったわ。
セーラの味方はみんな、立場の弱い人たちばかりだけど、彼らの存在があるからこそ、最後まで物語を見届けられるのかも・・
小公女セーラ所感
悪い言い方をしてしまうと、「人の見方はお金で変わる」ってことなんだけど、主人公のセーラはお嬢様であっても、小間使いであっても、芯の部分は変わらないのよね。
セーラは、革命の末に断頭台の露と消えたフランス国王妃・マリー・アントワネットの気高さに憧れていたようなのよね。
マリー・アントワネットが処刑される直前の手記で、革命を起こした人々に対し、
「私はあなたたちを許します」
みたいな言葉を残していたそうだけど、最後まで誇りを失わなかった部分に共感したのかしらね。
マリー・アントワネットは国民の苦しみを理解できずに、最後は処刑されてしまったけど、セーラは自分が置かれた恵まれている境遇に驕ることは、決してしなかったわね。
だからこそ、立場が変わっても、彼女を慕い続ける仲間がたくさんいたのかも。
観るのが少し辛いけど、「小公女セーラ」は学べる事が大きいと思うわ。
小公女セーラの名シーン
小公女セーラを語り始めたら、もうキリがないのだけれど、ここで二つほど思い出の残るエピソードを紹介するわね♪
「親切なパン屋さん(第23話)」でのエピソード
計算が得意なセーラは小間使いの仕事として、市場へ食材の買い物へ行かされる事もしばしば。
買い物の途中にパン屋さんの前を通りかかるセーラ。
満足な食事を与えてもらえず、いつも空腹に耐える毎日。
「お金があればパンが買えるのに・・」と思っているところに、パン屋さんの前に銀貨が落ちているのを見つける。
「落とした人が困っているのでは?」とパン屋のおかみさんに銀貨を届けるセーラ。
でも、パン屋のおかみさんはセーラがお腹を空かせているのを察し、
「銀貨はあんたに拾ってもらいたくて、わざわざ落ちていたんだよ。
気にせずに何か買って食べなさい、うちのパンで良かったらおまけするよ」
と、優しい言葉をかけてくれる。
おかみさんの言葉に甘えて、焼き立てのぶどうパンを4つ買うセーラ。
おかみさんは本当におまけしてくれて、袋には5つのぶどうパンが入っていた。
パンを持ってお店の外に出ると、自分と同じく身寄りのないお腹を空かせた少女・アンヌに出会う。
アンヌを不憫に思ったセーラ、自分もお腹を空かせているにも関わらず、ぶどうパンを1つだけ袋から取り出し、残りの4つを全てアンヌにあげてしまう。
その夜、仕事が終わった後に、1つのぶどうパンを半分にしてベッキーと分け合うセーラ。
ぶどうパンは半分だけだったけど、セーラの心はとても満たされていたというエピソード。
感想
セーラ・・・なんていい子!
セーラのピュアさが一段と際立つエピソードよね。
あたし、この回が一番好きよ。
一つだけ手元に残したぶどうパン。
てっきり帰り道の途中で食べたのかと思ったら、ちゃんとベッキーにも分けていたわよ。
さすがセーラよ!
それにしても、パン屋のおかみさんの懐の深さ、惚れ惚れするわよね。
同じ女として、こうありたいと思ったわ。
ちなみに、このエピソードは最終回にも繋がっているのよ。
気になる人はチェックしてみるといいわ。
「デュファルジュ先生の帰国(第27話)」のエピソード
ミンチン女子学院ではフランス語の授業があるが、ほとんどの生徒はフランス語が苦手である。
ある日の授業で、フランス語教師のデュファルジュ先生から宿題が出されるが、ラビニアたちはフランス語が堪能なセーラに宿題を押し付ける。
デュファルジュ先生は、ラビニアたちがセーラに宿題を押し付けた事を見抜き、提出した宿題の内容を発表するよう、ラビニアたちに指示するが、上手く読み上げることができずに、授業中に恥をかく。
それに憤慨したラビニアは、ミンチン院長に「デュファルジュ先生は、セーラを特別扱いしている」と告げ口をする。
セーラの処遇を巡り、以前からミンチン院長と意見が合わなかったデュファルジュ先生は、この出来事をきっかけに、ミンチン女子学院のフランス語教師を辞めることになってしまう。
「いつも親切にしてくれたデュファルジュ先生がいなくなってしまう・・」
デュファルジュ先生は、どんな境遇にあっても、勉強を続けることを止めないよう、セーラを支えてくれた人だった。
堪らなくなったセーラは、デュファルジュ先生の自宅へ走って会いに行く。
デュファルジュ先生はロンドンを去り、故郷のフランスへ帰るのだと言う。
泣きじゃくるセーラにデュファルジュ先生は、
「どんなに辛くても挫けず、希望を持って努力をしていれば、いつか報われる日が来る」と告げ「セーラの勇気を信じている」と続ける。
大切な理解者を失ってしまったセーラの、心細さが伝わってくるエピソード。
感想
ラビニアとミンチン院長の理不尽さに憤慨させられたり、セーラとデュファルジュ先生の別れに涙したり、喜怒哀楽が激しい回だったわ。
現代でも、まともないい人が酷い目にあって、卑怯で狡猾な人がのさばってたりするじゃない?
これって、昔から変わらないんだなぁって思ったわ!
だけど、しっかり努力している人が報われないなんて、悲しすぎるわよね。
「セーラ、あたしもあんたの努力と勇気を信じているよ!」って、声をかけてあげたい。
「小公女セーラ」とにかく観てみて?
最後はゴリ押しになってしまったわ。
「小公女セーラ」は、DVDだけじゃなくネットの動画でも観られるのね!
全46話とちょっと長めだけど、興味がある人は是非観て欲しいわ♪
終盤にかけてのドラマチックな展開は、なかなかヤキモキさせられるけど、きっと幸せな気持ちになれるわよ?