夏休みが終わる前から多数のメディアで「学校に行くのがどうしても嫌なら、然るべき機関に相談しよう」って呼び掛けはあったけど、新学期が始まってから中学生や高校生の自殺が報道されているわね。
あたしはうつ病になった経験があるけど、自殺するまで思い詰めている時って、視野が狭くなっていると思うの。
だから、呼び掛ける事ってとても大事だよね。
自殺することがしょっちゅう頭を過る時って、自分を救う方法を考える気力が出ないのよ。
そんな状態の時は、何気ない事にも気づけないから、呼び掛ける声は大きい方がいいと思う。
それでも、自ら命を絶ってしまう人はいるけれど、救われている人だってたくさんいるはずだから。
誰でも、明るくて楽しい毎日を送りたいと思うけど、幸福ってふとしたきっかけであっさり壊れるもの・・
そんな時のために、自分のネガティブな状況や感情と付き合っていくのも大事かも知れない。
あたしは子供の頃、いじめられっ子で友達も少なかったから、一人ぼっちで悶々と考えている時間が多かったのだけど、そんな時に救いになったのは音楽だったな。
一曲は数分の長さだけど、その間だけは歌の中の世界に行けるじゃない?
共感も憧れも反発も、他人のことを気にせず自由に感じられるのが救いだった。
中でも、ネガティブな気持ちに寄り添ってくれる曲はとても大事で、泣きたいのにうまく涙が出てこない状態の時は、感情を吐き出すのに一役買ってくれた感じ。
最近は前向きさを全面に押し出していて「ネガティブはいけない」って感じの曲が多い気がするわよね。
でも、今日はあえて「ネガティブに寄り添う曲」をあたしが紹介するわね。
目次
infection/鬼束ちひろ
爆破して飛び散った心の破片が
そこら中できらきら光っているけど
いつの間に私はこんなに弱くなったのだろう
タイトルの「infection」は「感染」や「伝染」という意味。
人間が元気に活動できるのって、やっぱり心が健康だからよね。
この歌詞は一瞬、何を言われているのかよく分からないかも知れないけど、
「壊れた心の破片が体中に伝染していって、動けなくなってしまった」
と、あたしは解釈しているわ。
心がネガティブに汚染されて、やる気も出ないし希望も持てない状態の時だと思う。
終盤にはこんな歌詞もあるの。
あらゆる小さな熱に怯え始めている
私に勝ち目など無いのに目を覚まさなくちゃ
そう、自分でも分かっているんだよね。
でも、自分の心や体なのに、なぜかネガティブに抗う事ができない歯痒さ・・
確かに辛い状況だけど、いっそ素直に認めてしまう事で、自分を許せるかも。
みんなぼっち/より子
当たり前の事が出来ない 置いていかれるだけ
些細な事で衝突を繰り返していたり
“自分”に捕まると物事もうまく出来なくなる
いつの間にか他人とよく似てる格好して
「自分に捕まる」・・・そう、自分を縛って苦しめているのは実は自分だったりする。
自殺してしまった人のニュースを知ると
「逃げたっていいのに」
って思うでしょ?
でも、自分を逃してあげないのは他でもない自分なんだよね。
大人になれば他人と一緒じゃなくてもいいって気が付くんだけど、子供の頃って狭い社会の中で生きているから、みんなと違うのは苦しい事なのかも。
なんか、最近の子って家にいる間もLINEのビデオ通話でずっと繋がってたりするんでしょ?
「本当は一人の時間が欲しいけど、友達に付き合わないとグループからハブられる」
なんか脅迫に近い緊張感よね。
POWDER SNOW/浜崎あゆみ
もう一人きりにしておいて欲しいの
誰も私を知らぬ場所へ逃げたいの
そんなこと間違っていると責められようとこれ以上
心がもうもたない 明日はいらないの
この歌詞はあたしの中では究極だなぁって思ってる。
ちなみに、この曲の主人公は精一杯生きてきたのよね。
でも、何がこじれたのか思いも寄らない不幸に落ちてしまったらしい。
この「思いも寄らない不幸」が人生の曲者。
あたしも信頼していた友達に裏切られたり、転職先でパワハラに遭った時は、幸福な場所から突き落とされた気持ちだった。
絶望から這い上がる気力もないなら、逃げたっていいじゃない?
這い上がるだけが違う場所に行く手段じゃない。
新しい扉を探しに行ったっていいわよ。
逃げるのが悪いって、誰が決めたんだろうね。
君のいるところと君のうた/小久保淳平
その場所を離れたいなら 歩幅を少し広げればいいさ
今じゃなくたって構わない
時間がかかるならそれでいいさ
いくつも考えた結果 答えが出なくてもあせらないで
君は誰より強いさ
君は誰よりも強いさ
とにかく「スピード感」や「できること」が要求される時代。
うまくこなせなければ、どんどん取り残されてしまう。
自分の属している社会に自分の価値を決められて、無価値と判断されれば自分自身もそれが全てだと思い込んでしまう。
そういう風に苦しんでいる人が、たくさんいるのかも。
適材適所って言葉があるでしょ?
今いる場所が自分に適していないだけで、違う場所に行けば活躍している自分がいるかも知れない。
どこに行けばいいのか分からなくても、諦めないで歩いていれば巡り会える時がきっと来るよ。
本当は泣きたいクセに/KAB.
苦しい日も悲しい日も やりきれない気持ちの夜も
さらけ出してよ 僕にくらい
泣いちゃいなよ 僕は横で見ないふりをしててもいい
溢れる涙を拭わないで
素直になれ 憂鬱の日々が少しでも消えて行くように
これは主人公が苦しんでいるのではなく、主人公が他人の辛さに気付いて呼び掛けている歌詞になるわね。
思い詰めている時って、自分の辛さや苦しみを誰にも理解してもらえない気がするけど、実は近くにいる人が心配してくれているのよ。
心を閉ざさずに自分から歩み寄ってみれば、助けてくれるかも知れない。
自分にも他人にも素直になれるといいよね。
いのちの名前/平原綾香
未来の前にすくむ手足は 静かな声にほどかれて
叫びたいほど なつかしいのは
ひとつのいのち
真夏の光
あなたの肩に揺れてた木漏れ日
この曲は確かジブリの「千と千尋の神隠し」の挿入歌だったかな?
それを平原綾香がカバーしたのよね。
「ネガティブに寄り添う歌詞」って雰囲気ではないけど、ピアノの旋律や曲全体の優しい雰囲気が、心を慰めてくれる効果があると思うので、一緒に聴いてもらいたいわ。
生きていれば、いろんな道に出会える
本当に苦しい時は、元気だった頃と同じように動くのは難しいよね。
でも、辛さも苦しみも一緒にできた傷も、時間の経過が癒やしてくれるのは事実。
這うのと同じぐらいのスピードだって、生きていればどこか違う場所にたどり着けるわ。
「命」は1つしかないのよ、当たり前の事だけどさ。
辛さや苦しみの真っ只中で、人生を終わりにするなんて悔しいじゃない。
今いる社会や場所が全てじゃないんだから、少し遠くへ視点を移してみよう。