真梨幸子さんの『向こう側の、ヨーコ』いつも通り、見事でしたわ(ネタバレなし)

向こう側の、ヨーコ

こんにちは!
仕事を辞めてからは就活でバタバタしているけど、合間に本を読んだり料理をしたり、働いていた頃よりも心の余裕が戻ってきたよ。
何かをインプットするのもアウトプットするのも、やっぱり心に余裕が必要なのね。

ところで、ずっと気になっていた真梨幸子さんの『向こう側の、ヨーコ』を借りてきたので、今日は読後の感想を・・
まあ、いつも通り、大したことはないけど(苦笑)

『向こう側の、ヨーコ』をざっくり作品紹介

主人公の『陽子』は40代前半で独身、職業は小説家。
文化人として情報番組にも出演するぐらいだから、そこそこの知名度もあり、成功を収めている。
年甲斐もなく燃えるような恋愛もしている。
そんな陽子は子供の頃から不思議な夢を見る。

夢の中にもう1人の自分『陽子』が出てきて、惨めで不満たっぷりの生活を送っている。
そして、夢の中の陽子も現実世界の自分と同じく、成長していくのだ。

陽子は、夢の中のもう1人の自分に『向こう側の、ヨーコ』と名付ける。

・・と、本編では小説家の『陽子』をA面として、そして夢の中の『ヨーコ』をB面として、物語が展開していくの。

A面とB面

これは・・きっと昭和生まれじゃないと分からないんじゃないかしら?
今は音楽プレーヤーなりスマートフォンなりに好きな曲をダウンロードする時代になったけど、昔は『カセットテープ』に録音(ダビングとも言う)したのよね。
カセットテープってさ、表面(A面)と裏面(B面)があって、ひっくり返すと別の曲を録音できるのよ。
不思議だよね。
でも、伸びちゃったり、劣化したりで音が悪くなりやすいの。
懐かしいわ。

本の話に戻って・・
A面は華やかな世界の陽子、B面は平凡な主婦でいろいろと不満があるヨーコ、これは並行世界(パラレルワールド)のお話なのかしら?ってな感じに物語が進んで行く。
2人を取り巻くのは、役割は少し違えど同じ人物が多数いて、出会い方が変われば関係性も変わるのよね。

それぞれで描かれる女の嫉妬

主人公を含め、登場する女性たちはみんな癖があるのよね。
真梨さんの作品って、主人公以外の主観でも物語が進んでいくことがあるから

「あの人、裏ではこんなことを思っていたのね・・・」

って、現実世界でうっかり自分の悪口を聞いちゃった時みたいな、苦々しい気持ちになること多数。

特に、女同士の人間関係の中で避けて通れない「嫉妬」や「マウンティング」の描写が細かくて、ヒリヒリした気持ちになる。
まあ、そんなことの繰り返しで、あれを受け流すスキルが身に着くのだけれどね・・

ただ、登場する女性のほとんどが40代なので、若い子の小競り合いとは違い、なんか「えげつない」のよ。
キャリアがある・ない、男に選ばれた・選ばれていない・・・・ここに美醜の問題も絡んできたら、お腹いっぱいだわ。

更には「閉経」だとか「更年期」だとかの臭いが漂っていて、余計にピリピリしたものを感じる。
昔の職場を思い出したわぁ。
そして、性の描写が生々しかったわ(笑)
真梨幸子さん、官能小説も書けそう。

終盤はスピード感がある

序盤はA面とB面のエピソードが繰り返していくだけで、一体、どんな結末になるのか想像できないから、だらだら読んじゃったけど・・
ある事件が発生してからは、話が急展開!
中盤からは一気に読み進めたわ。

終盤なんて、頭の中で物語の世界をイメージして、フル回転って感じだったわ(下手な表現でごめんね)

真梨幸子さんの作品は登場人物が多くて複雑なのだけど、少しずつ紐解いて行くのが楽しいのよね。

また、図書館で借りて来なくちゃ!

ところで、この本の表紙の女性って・・・作家のあの女性?

スポンサーリンク
レクタングル(大)広告
レクタングル(大)広告

もしや・・シェアしてくれたり?

フォローする